ライプツィヒ国際バッハ・コンクール(2/4)
2004/07/30

  さて、今回チェロの参加者は、プレ・セレクションを終わった段階で22人、 予選が始まったところで17人と、国際コンクールとしてはかなり少人数でした。これは 上記のようにプログラムや条件が影響していたのかもしれません。様々な国際コンクー ルを目指してゆく人にとっては、他にもっとやりやすい、つまり一般的なレパートリー のコンクールを選ぼうと考えた人もいたでしょう。ガブリエッリはもちろんのこと、 C.P.E. バッハのコンチェルトは、一般的には全くと言っていいほど演奏されないもの です。それを考えれば、5人のバロック・チェロ奏者を含む17人はなかなか上出来の数 だったのかもしれません。参加者はイギリス、イタリア、イスラエル、ウクライナ、 オーストリア、オーストラリア、スイス、スロヴァキア、ドイツ、フランス、ロシア から集まりました。
  審査員は全部で10人、チェロ部門の委員長はLaurence Lesser、以下 Patrick Demenga, Roel Dieltiens, Kathi Gohl Moser, Ralph Kirshbaum, Wieland Kuijken, Iwan Monighetti, Philippe Muller, Siegfried Pankと私です。 メンバーの中でおもにバロックしか演奏しないのはWieland Kuijkenと私、バロック とモダンの両方を演奏するのがRoel Dieltiens, Iwan Monighetti, Kathi Gohl Moserで、 残りはいわゆるモダンのみを演奏する人です。Philippe Muller氏はパリのグラン・ コンセルヴァトワールの教授として知られていますが、京都フランス・アカデミーに 毎年来られるので日本でお馴染みの方もいらっしゃるでしょう。古い文献もよく ご存知ですし5弦のチェロ・ピッコロもお持ちで、昔はガット弦で弾いていたと 言われていました。Siegfried Pank氏はライプツィヒのゲヴァントハウス交響楽団 で長らく演奏されており、ドイツではガンバやバロック・チェロを弾き始めた パイオニアの一人、今もライプツィヒのホッホシューレで教鞭をとっておられます。 彼が教えている部屋は、その昔クレンゲル(斉藤秀雄先生の先生)が教えていた 部屋だそうです。Monighetti氏はチャイコフスキー・コンクールでも第2位に入賞 されている有名な奏者ですが、今まで名前だけ知っていて会うことができません でした。今回は他にもいろいろな方と話ができて、実りの多い10日間となりました。

  コンクールの模様を全部書き記すことはできませんが、全体的に 明らかであったことは、モダンかバロックかという楽器のスタイルと演奏の良し 悪しは直接関係していないということです。いうまでもなく、モダン楽器を用い、 ベートーヴェン以降の音楽を多く演奏する人の考える音楽表現の幅と、オリジナル 楽器でベートーヴェン以前しか演奏しない人のそれとでは、定義が違うというほどの 差があると言えるかもしれません。しかし、演奏者の音楽理解、感じていることや 考えていることの深さは、そう言った要素を越えて明らかになってくるものなのです。