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ライプツィヒ国際バッハ・コンクール(1/4) 2004/07/30 |
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暑い日が続いておりますが皆様いかがお過ごしでしょうか。 仕事の都合やキャンセルなどがあってしばらくヨーロッパから 遠ざかっていましたが、この夏はライプツィヒ国際バッハ・コンクールの審 査員というたいそうな役目を仰せつかりました。このコンクール、第1回は 1950年、その後1964年からは4年に一度、96年からは2年に一度行われて現在 に至っています。チェロ部門は1976年が最初で、80年、88年、そして98年に 行われました。日本人では76年に金丸晃子さんが入賞されています。 今年のチェロ部門は前回のヴァイオリン部門のスタイルを踏襲 するもので、オリジナル楽器もモダン楽器も同様に扱うというものです。ど ちらの楽器であっても、その曲の様式に適った演奏をすることが要求されて いるというわけで、そんなことが一体可能なのか、何をもって「様式に適っ ている」と言うのか等々疑問は多々ありますが、まずとにかく、課題曲がな かなか興味深いものではありました。 まず予選に来る前に、参加者はバッハの第1〜3番を演奏する ビデオもしくはDVDを作成して送り、それによって予選前のプレ・セレクショ ンが行われます。その後、第1次予選はガブリエッリのリチェルカーレ第7番、 ジェミニアーニの第2番または3番のソナタとバッハの組曲1〜3番のうち の一曲全部、第2次予選ではバッハのガンバ・ソナタから1曲、ボッケリー ニの定められた2曲から1曲またはブレヴァルのト長調のソナタと、ベートー ヴェンの第4番または5番のソナタ、そして本選ではバッハの第5番または6 番とC.P.E. バッハのイ短調もしくは変ロ長調のコンチェルトという課題曲で す。本選で演奏される第5番はA.M.バッハの筆写譜に指定された調弦でなけれ ばならず、第6番を弾くならば5弦の楽器を用いなければなりません。コン チェルトにはバロックとモダン両方のオーケストラが準備され、ベートーヴェ ンのためのピアノも5オクターヴ半のフォルテピアノとモダンピアノ両方が、 また第1次予選のチェンバロもモダン・ピッチとバロック・ピッチの2種類が 準備されました。また審査員は、演奏全体とは別にバッハの演奏のみについて のポイントを出すことになっています。 ここまでを聞きますと、「ほう、なかなかちゃんとしているじゃ ないか」と思われると思います。唯一、なぜガンバ・ソナタが入っているのか !?と思われる方もいらっしゃるでしょう。3曲のガンバ・ソナタはチェロの 曲ではないにもかかわらず、いわゆるモダン・チェロの世界では一般的なレ パートリーなのです。ヴァイオリンとオブリガート・チェンバロの ソナタなどと同様、この曲ではチェンバロとガンバがトリオ・ソナタのように 絡み合うもので、バッハはチェロをこのように扱ったことはありませんでした。 音域は同じでもガンバとチェロの音質や性格はまるで違います。バロック奏者 たちにとっては、これをチェロで弾くということ自体が非常識なのであり、 どのような仕上がりを求めて準備すれよいのかが明らかにできないものなのです。 ですから、この曲が入っているために参加を止めた人もいるかもしれません。 パンフレットに書いてあったことではありますが、来てみるとも う一つ問題がありました。それは、演奏者を考慮してのこととは言え、第2次 予選で使用するフォルテピアノのピッチが415となっていることです。ご存 知のように、ベートーヴェンの後期の2曲が作曲されたのは1815年、もと もとピッチが高めの傾向にあったウィーンでは、A=415Hzなどというピッチはと うの昔に過去の遺物となっていたはずです。その上そのピアノはあまりにも小 さく、音域的にはこの曲を弾けると言えるものの、音楽的にはあまりにも貧相 なものでありました。両方のスタイルの楽器を含むなら、どちらもが最良の条 件で演奏できるように準備されるべきであり、今回のお膳立ては理想からかな り遠いところにあったと言わざるを得ません。 |