| ポーランド便り vol.2 2002/12/22 | ||||||||||||||||||||
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皆様、 寒くなって参りましたが、皆様いかがお過ごしでいらっしゃいますか。  10日間ほど行っていた冷凍庫のようなポーランドからお便りを書こうと思っていたのですが結局時間がなく、「冷蔵庫」東京に戻ってきてしまいましたが、向こうの様子を少しお伝えしたいと思います。 ルフトハンザのフランクフルトからポズナニへの直行便が新しく就航したおかげで、行くのはとても楽になりました。それでも、周辺の居住者以外誰にとっても遠い感じの成田空港への道のり、そしてポズナニ空港から練習場まで車で約1時間半を合計すると、23時間ぐらいは旅行していたことになります。まことに日本はFar Eastであります。そしてそのポズナニへ着いたときの寒さ!その夜にはマイナス15度くらいまで下がりました。頭が痛くなるほどの寒さは、ヨーロッパに住んでいたときのことを思い出させてくれましたが、喜んでいる場合ではありません。 ポーランドの西端、もうドイツとの国境がそう遠くないmiddle of nowhereという感じの所にあるリゾート・ホテルが練習場です。寝食、練習、夜の酒も全てそこでとても効率的、悪く言えば軟禁状態のようなものです。他に殆ど泊まり客がいなかったせいか、特に最初の二日間は暖房が十分効いておらず、練習するのにも寒くて仕方ありませんでした。その上、今回のプログラムはモーツァルトの有名なディヴェルティメントK.136〜8とさらに有名なEine Kleine Nacht Musik。そんなに汗をかくような曲ではありません。ボッケリーニのチェロ・コンチェルトもやったのですが、それを弾いてもまだ一滴の汗も出ないぐらいです。 寒いときにもっと困るのが乾燥です。もう楽器の音がパサパサですし、楽器が縮んで指板と弦の間隔がとても狭くなってしまいます。ポーランド語でヴァイオリンのことを「スクスィプツェ(skrzypce)」と言いますが、最後の弱い「ェ」以外に母音がありません。寒くて乾燥した部屋でガット弦を弾いていると段々その言葉の響きのような音になってくるので、「なるほど、ポーランド語は寒い国の言葉だねぇ」と笑いました。大体ポーランド語などスラヴ系の言葉は子音がとても多く、ドイツ語の二重子音なんて目じゃない、というほど繋がっています。学習意欲をとても刺激してくれる(マイナス方向に!)言語です。そして寒さと乾燥は、ガット弦を扱う意欲も低下させてくれます。しかし、スチール弦のように触ると冷たいことはないかも知れませんね。 さて、4日間の練習の後は毎日移動で5回コンサート。ポーランドの道路事情などについては前にも書いたことがあるかも知れませんが、高速道路が少なくて、せいぜい150Kmぐらいに3時間近くもかかることがあります。一回の移動時間短縮のため、コンサート後も移動、翌朝また移動という日程です。夜の寒さは厳しく、コンビニがあるわけではなく(マックは時々ある!)、街灯も殆どない一本道を夜中に走って修道院のようなところに到着…といった日々で、物と音と光が充満している便利な東京ライフとはかなり違います。まあ、東京でコンサートの後、飲み食いしてから満員電車で1時間以上も揺られるのも厳しいと言えますが…。 さて、このような超有名プログラムを取り上げるのは、音楽家にとって一種のチャレンジです。聴く人の殆どが知っている、或いは聞き飽きているものを、奇を衒うのではなく新鮮に聞かせなければなりません。しかし、一番飽きているのは音楽に敏感な音楽家であり、演奏家が退屈していて音楽が新鮮に響くことはあり得ません。 実は、もうこの4曲は弾かない、と20年ほども前から心に決めていたのです。しかし、この飽き飽きした感じを払拭するためには、自分がリードして場所で思いっきりやってみるしかない、と決心したわけでした。結果は…やってみて本当によかったと感謝しています。4日間、一日3セッションの練習でもまだまだ言うことはありましたし、飽きることもありませんでした。ほぼ20年間の経験が、同じ曲からいろんな別のことを想像できるようにしてくれていたのですね。おかげで、これらを再びよい曲だと感じることができるようになりました。どこがどのように、というのを文章に書くのは簡単ではありませんし、近いうちに何とかオーケストラ・リベラ・クラシカでもやってみたいと考えていますから、どうぞ楽しみにしていてください。 ワルシャワのラジオ局内のホール(素晴らしい音響、しかしライヴ放送のコンサートでカデンツァ3つ捻出はド緊張!)やポズナニの大学内のホールなど立派な場所に混じって、音響がよく雰囲気のある小じんまりした場所でもコンサートを行いました。旅の風景など、写真でお楽しみください。 では皆様、よいクリスマスと実りある新年が訪れますよう、心よりお祈り申し上げます。そして、来年もより一層オーケストラ・リベラ・クラシカをご支援・ご声援くださいますよう、お願い申し上げます。
Merry Christmas!!
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