第17回 カフェへのお誘い
2004/3/6

  カフェ・ファン、ガット・ファンの皆様、

  如何お過ごしでいらっしゃいますか。

  しばらくお休みをいただいておりましたが、新たなカフェの出発を 決意致しましたのでお知らせ致します!

  来る2004年度は、4月24日(土)、10月9日(土)、そして 12月18日(土)(予定)の3回でベートーヴェンの初期作品を取り上げようと 思います。4月24日が第1番のソナタ、10月9日にバリエーション3曲、そし て12月18日には第2番のソナタを課題とします。

  チェロ音楽を愛する皆様には周知の通り、ベートーヴェンの作品はチェ ロという楽器の存在を新たなものとし、通奏低音の鍵盤楽器ではなく、また通奏低 音的なチェロでもない、ピアノと対等に音楽を形作る二重奏という新しいジャンル を確立した画期的な作品群です。18世紀から19世紀へ、特権階級の嗜みから市 民のものへと全てが動いていた激しい時代、その勢いをベートーヴェンの作品から 感じられるようにしたい、そしてそれを味わう「濃いカフェ」にしたいと願ってお ります。同時に、ベートーヴェンに求められる技術は18世紀の習慣を踏まえつつ 新しく、モダン・チェロの基礎といってもいいものですから、楽器を扱うテクニッ クを論議するにも素材に事欠くことはありません。


  会場は池上實相寺にお願い致しました。ご存知の方もいらっしゃると 思いますが、あそこには私が録音やコンサートにも使いました エラールのピアノ が置かれています。まあ1892年頃のピアノをモダンと呼ぶかどうか微妙なところ ではありますが、5オクターヴのフォルテ・ピアノとエラールの両方を用いて、モ ダンの場合、クラシックの場合と両方に対応できるようにしようと思うのです。で すから、モダン・チェロの参加もピアニストの参加も可能です。

  ピアノでお付き合いいただくのは清水由紀子さんです。清水さんはベ ルギーに長く留学され、ジョス・ファン・インマーゼールのもとで勉強されてきた 方です。私がブリュッセルで教えておりましたとき、弟子の卒業試験でベートーヴェ ンのソナタのお手伝いをしていただきましたが、ごく最近日本に帰国されましたの で、またまたお手伝いをお願いしたというわけです。

  他ならぬベートーヴェンですから、清水さんのご協力もいただき、そ の場である程度充実した音楽作りをしたいと思っております。時間は13 時から20時頃までとし、最後に課題曲を含んだミニ・コンサートを行う予定です。 受講者とその数に関しま しては、一人1時間ぐらいずつじっくりと取り組めるようにしたいと思いますので、 6人を限度とします。学歴はどうでもいいことですが、音楽学生程度の力のある方 を期待しています。申し込み方法につきましては別表をご覧下さい。受講料・聴講 料も抜本的に見直させていただきましたが、ピアノなどの経費もありますのでご理 解をいただければ幸いです。


  では、また4月に實相寺でお目にかかりますことを心から楽しみにし ております。

店主敬白

  ガット・カフェ・ファンの皆様、

 先日来お知らせしております次回カフェ、課題になっているベートーヴェンのソナタ の楽譜についてひと言お知らせしておきます。
 市販されている中でもっとも、そしておそらく唯一信頼が置けるのはヘンレ版の楽譜 です。しかしながら、「ヘンレ版」という奇妙な楽譜は「原典版」と銘打っていなが ら「監修者」が明記され、ことにパート譜にあっては殆ど原典版の用を為していませ ん。たしかに、もともとあったものと後から書き加えたものが判別できるようには なっていますが、監修者A.ナヴァラ氏による事細かな演奏上の「助言」は事実上楽譜 を埋め尽くしており、それを無視して「ベートーヴェン」を透かし見ることはできな いほどだからです。
 しかしながら、これらの曲のように自筆譜が消失しており、初版(のコピー)もそう簡 単に入手できず、またそれが完璧とも限らない状態の音楽においては、多くの音楽学 者の研究成果である「原典版」を勉強の基本とすることは決して悪いことではなく、 怠慢というわけでもないでしょう。
 ただ残念ながら、このチェロ・ソナタ(およびバリエーション)の、特にパート譜で は、「元々」を識別することが困難ですので、修正液もしくはテープなどをお買いい ただき、括弧付きになっている表示、指使いやボウイングなどを注意深く、しかし徹 底的に消し去ることをお勧め致します。これは、自分がさらい始める前になされるべ きで、ちょっとまずさらってから、というのはダメです。自分の記憶力、或いは自分 の腕や指の無意識に近い記憶を侮ってはなりません。すっかり消し去った後に見えて くる、まったく異なった楽譜の「顔」には、きっと皆さん驚かれることだろうと思い ます。もしどうしてもナヴァラが何を提案しているのかお知りになりたければ、別に もう一冊買えば済むことです。ヘンレ版が高いと言っても、どこかの図書館に行くこ とに比べればはるかに安く、時間もかからないのですから。ヘンレ版以外の楽譜につ いて私は実際のところ知識が殆どありませんが、お勧めできるものはありません。

 当日何らかの資料をお配りするかどうかは、まだこれから準備の段階で検討して参り ます。チェロを少しでも演奏される方はしかし、まあ一つ自宅に楽譜を持って、時折 眺めているのも楽しいのではないでしょうか?
 4月24日に多くの方とお会いするのを心から楽しみにしております。

店主敬白
(2004/03/11)

第17回ガット・カフェ「ベートーヴェン初期のチェロ作品その1」
課題 ベートーヴェン チェロソナタ1番 Op.5-1
場所池上   實相寺   60席限定
日時2004年4月24日(土) 13:00〜20:00
(最後にミニ・コンサートを含みます。曲目は課題曲ほか。)
共演 清水 由紀子(フォルテ・ピアノ/ピアノ)
料金 受講 10,000円
音楽学生程度の力のある方。モダン、オリジナル、両方による受講可。
(モダン・・・ピアノ:エラール A=440Hz、
 オリジナル・・・フォルテ・ピアノ:クラーク/ヴァルター A=430Hz)
聴講 5,500円
休憩時間に300円で軽食の用意があります。

第17ガット・カフェのコンサート・プログラム
第17回カフェのアフター・テイスト
ガット・カフェの記録