| 第15回カフェのアフター・テイスト
2003/8/31 |
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カフェ・ファン、ガット・ファンの皆様、 昨日は第15回ガット・カフェにお出で下さり有難うございました。 初めて使ったこの会場は遠いだけでなく分かりづらい場所ではありま したが、ご心配なく、あのように横柄で不親切な場所で再びカフェを行うことは ありますまい。 お役所だからといって礼儀を失してよい理由はありませんし、「制服を着ると人 格が変わる」ことを許せば、行き着くところはファシズムです。コンサートのプ ログラムを削ってでも9時までに退出しなければならなかった不自由な昨夜、驚 くほど速やかに片づけを手伝って下さった「人間的」聴衆の皆様には心から感謝 を申し上げます。最後にいた数人に「片づいていないじゃないか!」とぶっきら ぼうな言葉を投げつけた「カントウシンリンカンリキョクトウキョウブンキョク」 のおじさんを、次回のカフェにご招待することにいたしましょうか? さて、今回は今までにもご登場下さったヴァイオリンの荒木優子さん、 チェンバロの重岡麻衣さんに加えてフルートの前田りり子さんをゲストにお迎え して、ヘンデルのソナタのコンティヌオを勉強致しました。私ばかりが喋って、 楽器について彼女にお話しいただくことができませんでしたが、音や調性による フルートの特徴、強く出ない音・音域へのケアなどをご理解いただけたかと願っ ています。 ヘンデルには、時々やけに弾きづらい音型やパッセージなどがコン ティヌオのラインにも出てきます。そのような時、どうしても頭の中には自分の パートだけが鳴り、指使いやボウイングのことが頭を占めてしまいそうになりま す。しかし、どんなにしっかり弾けていてもそれだけが孤立しているのでは「低 音」とは言えず、常に他声部と関係を保ち微妙に即応して、音楽がその上に構築 され得る状態でなければなりません。そのように、忙しいことを弾きながらもな お頭の一部分を「クール」に保つことがコンティヌオの難しさですが、それは、 楽器のテクニックではなく、そういう姿勢、気の持ち方によってできてくること でもあります。「奉仕の精神」、と一応は言っておきましょう。 上声の人が何を したいかを弾かれる前に解って準備をしなければ、コンティヌオという仕事はで きないのです。そういう精神的準備という意味では、プロも音楽学生もアマチュ アも、そう変わりはありません。一小節に一個の音符を弾くのに大切なのは、技 術よりもそのような姿勢とイマジネーションです。 夜のコンサートのプログラムは、実は私にとってもバロックの「懐 メロ」でありました。ヘンデルのトリオ・ソナタ、テレマンのパリ四重奏などか ら、四半世紀ほども昔を想い出していた方もいらしたでしょう。コンサートでも お話ししましたが、まだ今ほどにオリジナル楽器のオーケストラ音楽も声楽も聴 けず録音も数少なかった頃、古楽といえばバロック、バロックといえば室内楽、 ソナタやトリオ・ソナタといった時代があり (そういう人が一部に集中していた ということなのでしょうが!) 、昨晩のような曲目は本当によく演奏されたもの でした。しかしもちろん、この頃はあまり演奏されないのかもしれませんから、 夕べ初めて聴いたという方もいらっしゃったでしょう。どうぞ続けて、バロック の室内楽をお楽しみ下さい。室内楽の繊細で微妙な味わいは何物にも代え難いも のです。それにもう世の中には実に数多くの名演・名録音が出回っているのです から。 さて、第16回となる次回11月1日は、再び池上実相寺をお借りし て行います。実相寺は教養高く礼儀を知る方々の集まる文化的な場所、快い交わ りを持つことに心配はありません。手が届きそうに身近な場所で、久しぶりにバッ ハの無伴奏組曲の"brush up"をしたいと思います。夜のコンサートに何を弾くか はまだ決めておりませんが、昨夜もなかなか好調の(だったと勝手に思っている) ピッコロをまたお聴きいただきたいと思いますから、第6番を含むことだけはお 約束しておきましょう。 全曲を準備される必要はありません。一つか二つの舞曲でも、必ず何か発見はあ るでしょう。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。
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